「…つー訳で、今悪魔どもに捜索させてる最中っす」
俺の報告に、ジンさんは神妙な顔をする
「…そうか」
「…生きてる、かはわかんないっすけど 悪魔どもに訊いたら10年位前にも人間が
魔界に来たことがあったってことで、そん時来たのはなんでも小学生のガキ2人らしいんすけど
どっちも生きてこっち帰ってきたって言うんで、可能性はあると思うンすよ」
俺が励ますつもりで言った言葉に、ジンさんはやっぱり
「……そうか」
とだけ返した。
……この人は恨んでいるんだろうか アヤさんの好きだった世界を、こんなにしちまった俺たちを…
「………」
黙った俺に今度はジンさんが
「あぁ、悪いな 俺も感謝してるさ …ただな、俺には何もできないのかと思うと…どうもな」
ジンさんも、己の無力を呪った一人なんだろうか
大事な人一人守れねぇと自分を責めているんだろうか…
「タダシ、お前は意図的ではないにしろお前の大事な人を巻き込んだんだ ならばせめてものケジメとして、
俺みたいに守れなくなって消えられないように、しっかり捕まえとけよ」
ジンさんは言った
この人は…俺たちのやってることに恨み言一つ漏らさずに、自分の方は守れなかったってのに
まだ俺のほうにある大事なものの心配をしてくる、この面倒見のいい大人に俺は感謝の気持ちもこめて精一杯の返事をした。
「うっす!」
その後は、軽く世間話をした。
「…じゃあ、何か?お前ら自衛隊もぶっとばしちまったってのか?」
「まぁ、そうっすね」
「すごいな、魔王とやらは」
「…俺は力が手に入っただけでもう万々歳っすけどね」
「…はは、お前らしいよ……で、魔王は本当に あのミタカなのか?」
ジンさんはまだ信じられないというように聞いてくる。
「マジでアイツっすよ 今はちょっとヒルズで休んでますけど」
「!? アレで怪我でもしたのか?」
心配そうなジンさんに、俺は手を振って答える
「なんかまだ魔王の力を扱いきれないとか何とかってアイツの…従兄?がいってたっすけど」
「…そうか、まぁなんにせよ 乗りかかった船というし、決めたなら 何を言われ
ようとお前らのやることを果たせよ それが務めってヤツだ」
ジンさんのアドバイスに、俺は思わず
「恨んでないんすか?」
と訊いちまった
「は?」
聞き返すジンさんに
俺はもう一度聞く
「ジンさんは…世界をこんなにしちまった俺たちを…恨んでないんすか 正直、俺
は後悔してないんすけど」
ジンさんは瞬きした後、葉巻を取り出し火をつけて
うまそうに煙を吐きながら言う
「恨んでない…といえば嘘になるのか…それは俺にもわからねぇが……少なくとも、
アヤが戻ってくる、もしくは行方不明以外の形で何らかの決着がつけばそれでもいいんじゃねぇかとは思う、
まぁ戻ってきたアヤがなんていうかはしらねぇが…お前らのこの動きのおかげでアヤへの手がかりがつかめそうなんだ、
それを恨むってのも…何か違う気がしてな…悪ぃ、俺もやっぱりよくわかってねぇわ 忘れてくれ」
そういって点けたばかりのタバコをもみ消した
「イエ、こっちも変なこと訊いてすいませんっした」
「いいさ」
やっぱりジンさんは俺の目標だと改めて思わされる
俺にもこれくらいの寛容さがあるとマリ姉にも…アイツらに対しても…良くしてやれるかもしれない。
改めて俺の先に行くこの人をスゲエと思った。
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