ヒルズ近くに来ると、ケイスケ君が私達に近寄ってきた
「やっぱり来たんだね」
「うん・・・それで、ミタカ達は?」
「さっき自衛隊とかの攻撃が始まって、たぶん 彼は あそこ」
ケイスケ君が指差した先は、高いビルの屋上だった。
「カイドーやマリ先生は地上で自衛隊の相手をしてるみたい」
確かに耳を済ませるとカイドーらしい怒号が聞こえる
「ヒルズの前まで行きたかったけど・・・自衛隊が危険だからって道を全部封鎖しててね・・・」
残念そうにケイスケ君が言う
「仕方ないよ、これはもう戦争みたいなもんだし・・・」
ミドリちゃんが寂しそうに言う
「近くに住宅街があるのに・・・どうしてこんなこと・・・」
「その辺は月森君も考えてるみたいだよ」
「えっ?」
慶介君の言葉に、うつむいたミドリちゃんが顔を上げた
「さっき近くに行ったときにデカラビアを沢山見たんだ、攻撃でもさせるのかと思
ってたんだけど どうやら“守りの盾”で住宅街に被害を及ぼさないようにするみ
たいだった」
「そっか・・・」
ミタカも、まだ人の心を持ってくれているのかもしれない
「これから、どうする?」
私の質問に、ミドリちゃんが考えるそぶりを見せる
「うーん ここからじゃ見えないけど、ヒルズ前は封鎖されてるんですよね・・・」
「私はミタカともう一度あって話をしたい だから、ただ見るだけって言うのもな
・・・野次馬に来たんじゃないんだし・・・」
私とミドリちゃんが悩んでいると、
「それなら首都高三号線に登ってみるのはどうかな あそこなら高さがあって屋上
も多少は見えるんじゃないかな・・・それで無理なら ビルの屋上に昇ってみると
か・・・」
慶介君が見やすそうな場所を教えてくれた
「じゃ、行こう!」
ミドリちゃんの言葉に、私達は動き出した。
通行の規制でもされているのか、首都高に車の通りはあまり無かった。
そのおかげか私達は楽に移動できた
「見える?」
「うん、戦車と戦ってる黒いマントの人がいる・・・あれは・・・マリ先生かな?」
慶介君の言葉を聞いて目を凝らすと、確かに黒い人影が悪魔につれられて自衛隊の
車輌を攻撃しているのが見える
「あっ見てください!ミサイル来ました!!」
ミドリちゃんの指差した先には
逆光で黒く見える黒い塊がいくつも見える
「うぅん・・・屋上はやっぱりよく見えないですね…」
手を目のあたりにかざして見るけど、逆光と高さで屋上にいる人間までははっきり
見えなかった
「やっぱり隣接するビルに登ってみたほうがいいのかもしれないね・・・」
慶介君も同じようにしながら言う
「でもビルって人いるんじゃない・・・?」
私の意見に慶介君が答える
「アメリカ軍が急に作戦を公表して、避難が慌しかったみたいだから、ビルは無人
みたいだったよ セキュリティは動作してると思うけど、非常階段のほうは外に設
置されてるものなら・・・ビル内は無理でも屋上ならいけるかもしれない」
「じゃあ・・・上るんですか? 高層ビルを?」
「・・・一番手っ取り早いんじゃない?」
少し驚いた様子のミドリちゃんに、私は言った
「・・・・・・はぁ はぁ はぁ・・・やっとで着いた」
「手っ取り早いとはいえ・・・アタシ無茶言ったかも・・・」
「と、とりあえず着いたから・・・いいんじゃないかな・・・ふぅ」
数十分後、私達は本当に屋上まで上ってきた
あの戦いから逃げ出した私は、直哉さんが何をミタカにさせるつもりなのか、せめ
て見届けないといけないと思う それに、もしまだ間に合うのなら ミタカとアツ
ロウを説得できるんじゃないかって思ってる そのためなら まずは2人に会わな
きゃいけない
「あ、見えるよ!あそこ!!」
ミドリちゃんが指差した先には、仲魔を従えて ミサイルを壊している三人の人影
一人は、ミサイルを拳で粉々にしていて
もう一人は、衝撃属性の魔法でミサイルを壊している
もう一人も同じく、魔法でミサイルを壊している長身の人
たぶん、アツロウとミタカと直哉さんだ
「あれは・・・ぺトラレイで石化させて砕いてるんだろうな・・・」
慶介君がいう
「そっか、そうすれば爆発しないもんね」
ミドリちゃんが納得したように言う
三人はしばらくミサイルを防いでいて
暫く―――私達が屋上に上ってから40分くらい経ったころ――して
「あれっ?」
ミドリちゃんが何かに気づいた
「どうしたの?」
私が聞くと ミドリちゃんは
「あそこ、2人で何か相談してるみたい 何かあったのかな・・・」
「ほんとだ どうしたんだろう・・・」
慶介君も首をひねっている
暫くすると、2人の人影のうち一人は空へ、もう一人はミサイルを壊していたもう
一人
――多分アツロウ――に何か指示をして形態をビルを三角形に包囲するように立つ
形から、
ビルの屋上で背中あわせにする形態に替えた
そのとき
アツロウに何か指示をした方の影――ミタカ――が身体を大きくのけぞらせてその
場に膝をついた
「えっ!?」
「何?どうしたの? 一体何が―――」
混乱する私達に慶介君が
「撃たれたんだ!あそこ!!」
と別のビルの屋上を指さす
その先には――銃を構えた自衛隊が
「そんなっ ミタカ!!」
私は思わずビルの屋上から身を乗り出した
ここからじゃ見ることはできても手が届くことは無いと知っていたけれど
それでもどうしようもなくなって私は屋上でうずくまる彼に手を伸ばした
「ユズさんっ落ち着いて!」
「そんなに乗り出したら落ちてしまうよ!」
ミドリちゃんと慶介君が私を支えるけど、私のことなんてどうでも良かった
「そんなことよりミタカを早く助けないと! 撃たれたんだよ!? 死んじゃうっ」
半狂乱の私を2人が必死で手すりから引き離す
私は伸ばした手を下ろし、ビルの屋上で膝をつく
「どうしよう・・・ミタカ死んじゃったらどうしよう・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
怪我をしたときにいつも彼を助けてくれた仲魔は、私達にはもういない
私達は無力だった。
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