「ミタカさんなんだか映画の交渉する人みたいだったね〜☆」
とミドリちゃんが帰路につきながらいう
「うん、なんだかプロっぽかったよ」
ケイスケも賛同する
「・・・アンタ、ほんとに高校生かい?」
ハルが俺の頭をぐしゃぐしゃとしながら聞いてくる
「・・・うーん たぶんね」
俺が若干悩むふりをすると みんなが笑った
「じゃあ、イヅナさんがたびたびミタカのところにきて話をするだけなんですね?」
「そうなるわね、たぶんただの雑談で終わるんでしょうけど」
とユズとイヅナさんが“監視”の内容を話している
ビルの外に出たとき
「よし、これから俺たちは一杯やる準備をしてくる 買い物とかな・・・
その間お前たちは・・・どうする?どこかで時間潰しといて欲しいんだが・・・」
とジンさんが言う
「うーん どうしようか・・・渋谷とかは復旧中だから大して遊べないし・・・」
ユズが悩んでいると
「ねぇ、ジン ちょっと」
とハルがジンさんに何かを耳打ちする
「ん? ・・・ ・・・ ・・・ お、それはいいな! じゃ、そうしてくれ」
となにかジンさんも明るい顔になった
「これからアタシはあんたらと同じ車に乗るからね」
ハルが俺たち子供組(といっていいものか)のほうに混ざりながらいう
「手伝いしなくていいんですか?」
とユズが聞くと
「あたしは歌が専門だからね、あっちについたら歌ってやるよ」
と格好よく笑っていった
「えぇえぇぇっ!!!!本当ですかっ! うそ!ハルのライブをこんなに近くで聴けるなんて!!」
と案の定ユズはテンパってしまった
「そういうわけでさ 道具取りに行くから頼んでいいかな?」
とハルはネジの飛んだユズを置いといて、イヅナさんに尋ねる
「ええ、いいわ 今日は送迎役だしね」
とイヅナさんも答える
「・・・じゃあ、まずはハルさんの道具をとりにいって・・・それからね」
イヅナさんの言葉に俺達はワゴンに乗り込む
「ジンさんのバーってライブできるんすか?」
「ああ、うん アタシもたまに歌わしてもらうのさ、手伝いもするけど」
アツロウの言葉にハルが応える
ジンさんはD−VAの世話役…というか、ハルの保護者でアヤさんの恋人だったっけ
本拠地みたいなもんなのかな・・・
「・・・あ、そこの道を左に・・・・・・次は右ね」
今度はハルが助手席に乗り込み、運転席のイヅナさんに道案内をしている。
「・・・はあぁー・・・・・・ハルのライブかぁ・・・封鎖の初日に見たっきりだったなぁ・・・
てか普通のライブみたいに遠目に見るんじゃなくて・・・ホントにこんな近くで・・・
もしかしたらギター教えてもらったりとか出来ちゃったりして・・・・・・」
ユズは本当に幸せそうに何やら呟いている。
ふと眼を逸らすと隣に座るアツロウと眼が合った。
『コイツ、なんとかして』
口パクで伝えてくるアツロウの横では、いまだにユズが夢見心地の顔をしている。
『・・・ゴメン、無理』
俺も口パクで伝えると、その様子を見ていたケイスケとミドリちゃんがクスクスと
忍び笑いを漏らした。よく見るとアマネまでもが笑みを浮かべている。
「・・・えっ、何 どうしたのみんな」
ようやくユズが周りの状況に気づいて車内を見回す。
「・・・いや、なんでもないよ」
俺が笑いを噛殺しながら言うと、
「気になるじゃないっ、教えなさいよアツロウっ」
ユズがアツロウに詰め寄った
「だから、なんもないってば・・・・・・・・・ってオイ!引っ張るな・・・ってか締まってる!
俺の首締まってるから・・・・・・っぐぇ」
その様子にまたみんなで笑っていると
「ハイ着いたよ!ホラホラ喧嘩しない・・・」
ワゴンが停車し、ハルがこっちを向いて言う。
「・・・アタシは道具取って来るから、ちょっと大人しく待ってな」
ハルがワゴンから降りた時、
「手伝ったほうがいいかしら?」
とイヅナさんが声を掛けた。
「ああ、うん 大丈夫 ギター一本だからさ」
そういって自宅らしいアパートに入って行った。
しばらくして戻って来たハルは、ワゴンの荷台にギターを積み込むと、
「じゃあ、アタシの用事は終了だね。次どうすんだい?」
と言った。
「・・・そうね・・・・・・みんな、どこか行きたい場所はある?」
とイヅナさんが尋ねる。
「ん〜・・・振り出しに戻る、か・・・・・・」
「そうだね・・・」
アツロウとケイスケが首を捻っている。
この辺・・・って言ったらナオヤのアパートか神田位しか最近行ってないしな・・・
そう考えながら窓から外を眺めると、通りを歩く見覚えのある人影を見つけた。
あれは・・・・・・アイツは・・・ッ
俺はそのままワゴンのドアを開けると、遠ざかって行く人影を追って走り出した。
「あっ・・・オイ、ミタカっ!?」
アツロウが俺の背中に声を掛ける。
俺は若干振り返りながら、
「ゴメン、ちょっと急用思い出した!・・・悪いけど後でジンさんのお店行くから先行っといて!」
「ミタカさんっ?!」
「ちょっとミタカ?」
後からミドリちゃんやユズの声が聞こえてきたけど、俺は無視して人込みの中に飛び込んだ。
「・・・ったく、なんなんだ急に」
アツロウがぼやく
「すごく慌ててるように見えたね・・・」
ケイスケがミタカの走って行った方に眼をやりながら呟いた。
「彼にしては特異な行動ですね・・・」
アマネも不思議そうに首を傾げている。
「・・・とにかく、後で来るんなら・・・仕方ないけど私たちだけで回りましょうか」
イヅナが仕切直すようにいって、ワゴンを発進させた。
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