翌日
いつも起きるより若干遅い時間に目が覚め
昨日と同じようにCOMPに手を伸ばし
思わず苦笑してしまった
「一週間の慣れって恐いな・・・」
COMPは使えなくなったけど、受信したメールだけは残っていた
封鎖内で届いたラプラスメールを改めて読み返し
自分たちが良く生き残れたなと感心させられた
私服に着替え、髪を整え
母親が作り置きしておいた朝食を取りながらテレビを眺める
ニュースではこの一週間の封鎖について取り上げられていた
「恐怖!毒ガスによる集団錯乱!!封鎖内で見られた悪魔とは!?」
なんてテロップが流れている
『・・・今回1週間にも渡り行われた山の手線内の封鎖では停電、
自衛隊による封鎖内からの脱出を試みた人物の射殺など、近代国家にあるまじき行為が多々みられ・・・
日本医師会は病院内で治療中であった患者に対する損害賠償を求め訴訟を起こす構えを見せており・・・
政府は今後の対応に目が向けられております・・・・・・
また、毒ガスによる錯乱という形で一応の区切りのついている封鎖被害者の見たという
悪魔 はどの被害者にも共通する幻覚が現れており・・・
専門家に疑問点を指摘されています、毒ガス錯乱とされているにもかかわらず
被害者に対する健康診断等を政府は行っておらず・・・
対応の杜撰さを糾弾されており・・・現在政府は・・・・・・』
ニュースを聞き流しながら朝食をとり終え、歯を磨き終わる頃
玄関のチャイムが鳴った。
時計を見ると8:50分丁度
この正確さは、おそらくイヅナさんだろう
玄関へ向かい戸を開けると
見慣れた戦闘服ではなく、黒地のスーツに身を包んだイヅナが
「おはようございます 突然の息子さんの呼び出し・・・って あら?貴方本人だったの」
と勢い良く敬礼した右手を下ろした
「おはよう イヅナさん 今日は戦闘服じゃないんですね」
「作戦中じゃないからね 今日はただの送迎役よ」
と先ほどの敬礼に照れているのか 目線をそらして言う
「準備は出来ている?」
「うん、それなりに みんなは?」
「多分もう向こうで待ってるんじゃないかしら・・・
私は貴方達の送迎で一番最後に向こうにつくことになってるから」
「あなた・・・たち?」
どうみても俺一人しかいないんだけど
そう思っていたら
玄関の向こうの塀の脇から
「お〜すミタカ! 良く眠れたか〜?」
「おはよ〜 私はあんまり眠れなかったよ〜」
「私も〜」
「おはよう御貴君 元気そうで良かったよ」
「おはようございます」
と、アツロウ、ユズ、ミドリ、ケイスケ、アマネが
顔を出していた
「なるほど・・・ね」
つまりイヅナさんは子供の引率役といったところかな
多分ジンさんやマリ先生やハルは伏見さんだろうな・・・
なんてことを考えていると
「さ、早く車に乗った乗った! とっとと説明終わらせて 一杯やるんでしょ?」
とイヅナさんに背中を押されていた。
イヅナさんの乗ってきたワゴンで、封鎖のその後の事後処理について聞いた
「・・・じゃあ、封鎖内で起こった暴力事件とかは 罪にならないんですか?」
「罪にならないというわけではないんだけれど・・・
そうね、毒ガスによる錯乱ということで通常の刑法よりは減免措置がとられるみたいよ?」
「そう、ですか・・・・・・」
これはケイスケとイヅナさんの会話だ
さすがに正義感の強いケイスケのことだから、また怒り出すんじゃないかとひやひやしたけれど、
彼自身も人に対して暴力で正義を振るっていたからなんともいえないんだろう
「悪魔がやった場合は、免罪になる可能性が高いけれど、
悪魔使い自身が悪魔をけしかけたり脅したりした場合は・・・多分罰金刑くらいじゃないかしら」
「じゃあ、ケイスケも・・・」
アツロウが心配そうな声を出す
「正当な理由があった場合や、人を助けるために暴力を行使した場合は、
それを罪ととらない っていうのが政府の方針みたいよ。ただし、ちゃんとした証人が要るけどね」
「はい!は〜い! 俺証人っ! ケイスケは悪くないっ」
イヅナさんの言葉に アツロウがこれ見よがしに手を上げる
「うんっ ケースケはわるくな〜い☆」
ミドリちゃんもまた挙手に参加している
当のケイスケは 若干複雑なようで
「・・・はは、ありがとう アツロウ ミドリちゃん」
「あったりまえだろ!」
「うん☆ 正義は勝〜つww」
アツロウとミドリちゃんは楽しそうだ
二人でハイタッチとかやってるよ
俺は助手席に座ってるから首を後ろにひねってみんなを見てるけど
ユズは騒いでいる3人(主にアツロウとミドリ)に加わって楽しそうにしてるけど、
俺はその隣に座っているアマネの様子が少し暗い事に気づいた
「アマネ、どうかした?」
俺が尋ねるとアマネはこちらに気づいた
「いえ・・・私の父 クズリュウが行ったことに対しては どのようになるのかと思いまして・・・・・・」
そうか、そもそもの発端は翔門会教祖が行ったことだったな
けれどアマネはそれについてずっと気に病んでいたんだろう
ちょっと迂闊だったな・・・
「・・・それについては 事が大きくなる前に防げたっていうことと、
彼は人を救おうとしたっていうことだから、何の心配も要らないわ。
天使の中の・・・レミエルだっけ? 貴方に助言をしたのは」
「ええ、そうです」
「彼女・・・彼?って言っていいのかしら・・・からも彼は人のために良かれと思ったことであるので
天使全体の総意とまではいかないにしても 主は彼自身の行為にお怒りになっただけであって
彼自身には罪はない・・・と言っていたわ」
・・・レミエルって、他の天使よりも人間のことを気遣ってんのかな・・・
けっこういい奴だったけど・・・アマネの体を借りてたから アマネにも思い入れがあるのかもな・・・
「・・・! ありがとうございます イヅナさん レミエル・・・」
アマネは肩の荷が下りたように微笑んだ
・・・・・・やべ、ちょっとかわいい・・・・・・
「あ、イヅナさん悪魔が壊したところとか どうなってます?」
「現在順調に復興中よ」
「議事堂も?」
「ええ、悪魔が消えたと同時に あそこの汚染も消え去ったから・・・
水道管をつなげなおして、コンクリートとかでまた埋めるんじゃないかしら」
お、アマネ見てたら話題が別のところにいってるや
「ねぇねぇ、今日はどこで話し合いするの? 議事堂壊れてるんでしょ?」
ミドリちゃんが話に混ざる
「そうね・・・それは封鎖が実行されてから、仮に政府として使われていた…
あ、見えてきたわ あの建物よ」
イヅナさんが指差した先には 近代的な高層ビルがそびえていた
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