時の狭間から出てそれぞれが召喚器や腕章の準備をした頃、美鶴が口を開いた。
「…よし。みんな準備は整ったようだな。なら、探索に先立って役割分担を決めたい
 とりあえず私は、地下から出てきたような資料が他にも無いか、独自に探そうと思う」
「別行動って事か…まあ確かに、そういう物の目利きはお前じゃないと無理か」
真田が頷くと、美鶴が更に指示を出す。
「目処がついたら、出来るだけ早く合流するつもりだ
 …それと、出来ればもうひと組、別働する者が欲しい。”時の狭間”が寮以外の何処かへ
 通じていないか、探ってもらいたいんだ。解決までの所要時間が見えない以上、補給路の確保が
 重要になる」
すると順平が、隣に座るコロマルを指差し言った。
「ああ、そういう系なら、コロマルとか向いてんじゃねっスか?人間より鋭そうだし。鼻とか」
「ワンッ!!」
コロマルがその声に普段よりも大きく尻尾を振って応える。
「オレとコロマルで引き受けますよ、抜け道探し!」
順平が挙手をしながら言うと、美鶴は満足げに頷いた。

そこで、ラウンジの端の方に立っていた宇海が声を挙げた。
「あの…僕も、探索のお手伝いをさせていただけませんか?」
メンバー全員が目を見開き、彼の方を見る。

「…あなたには関係ないじゃないですか」
天田がぼそりと呟くと、宇海は全員を見ながら頭を下げる。
「…今回のこの出来事が…皆さんが深宙とやってきた事が、どんなものだったのか…
 知りたいんです。お願いします!僕にできる事なら、精一杯頑張りますから…」

その真剣な様子を見たゆかりが、美鶴の方を向き尋ねる。
「…どうします?戦力は多い方が探索は楽だと思いますけど…」
「僕は反対です。この人、深宙さんのお兄さんでも綾時さんとの事もありますし…信用できません」
天田がゆかりの言葉に反論を重ねると、美鶴は宇海の方を見て
「…分かった。だが、今のこの状況では君に全幅の信頼を置くのは難しいだろう…
 最初のうちは私と共に資料解析を手伝ってもらう…それから、また探索に加わるかを考えよう」
と言った。

「…美鶴さん!本気ですか!?」
天田が噛み付くが、美鶴は揺るがない。
「今のこの状況では、我々には未知の事が多い。…ならば少しでも戦力を強化した方が得策だろう」
「で、でも…腕章や召喚器はどうするんですか?」
風花の問いに、美鶴は彼女が先程持ってきた召喚器の残りを指し示した。

「…彼女のがある」

「それはっ…深宙さんの……深宙さんの召喚器ですよ!?」
「通常ならばラボから彼専用のを造らせるんだが、如何せん出られないこの状況だ。
 彼女のものを使うしかないだろう」
美鶴自身も複雑そうな顔をしつつ呟いた。

「…そんなっ……」
天田は不満そうだったが、それ以上は言わず、黙って宇海を見るだけだった。

「…俺は荷物整理でもしてりゃいいのか?…出ろ、って言われりゃ出るが…生憎とこの体じゃ
 大して役には立たねーぞ?」
荒垣が美鶴に対し尋ねると、
「…そうだな、まだ全快で無い以上、無理をさせるわけにはいかないな…荒垣も残って私の
 手伝いをしてくれ……今の話の通り、私と有里…それから伊織とコロマルは当初は別行動とする
 他のみんなは、アイギスの指示に従ってメインの探索に当たってくれ。アイギス、頼んだぞ」

その声にアイギスは頷き、探索のためのメンバーを選び始めた。


×


まだ未知の場所に探索に行くという事で、時の狭間に詳しいメティス、補助魔法の使える真田
全体回復技を持つゆかりを選び、時の狭間の入り口…メティスの言う”扉の間”へ降りた時、
1つの扉の前に黒い人影が歩いて行くのが見えた。

「!?」
『えっ…なに、今の…?』

全員が即座に警戒態勢を取ると、こちらに気づいていないのか人影はゆっくりと扉に近付き中へ入っていった。
さらに調べてみると、寮に繋がる階段を取り囲むように建っている扉の中で、開くのは
先程の人影が入っていった一つだけのようだった。
全員で改めて扉の前に立つと、風花が声をかけてきた。
『さっきの黒い影…ここに入っていきました…よね?あれって、まさか…
 …あ、ごめんなさい。何だか、一人で勝手に動転して…ここが1つ目の扉みたいですね
 中はどうなってるんでしょう… ……。 でも、ここに踏み込まないと、今の状況は変えられない…
 …行くしか無いんですよね。私も一生懸命サポートします。行きましょう!準備はいいですか?』

その言葉にアイギスは頷き、扉に手をかけた。

扉の中には寮と同じような絨毯の敷かれた廊下が続いており、よほど広いのか向こうまで
見通すことができない。風花が内部を探りながら声をかける。
『中は普通の建物のような感じですね…ちょっと内部の様子を調べてみます』

それから数秒集中すると、探索メンバーに向かって声を挙げた。
『………!?えっ、まさか!?この感じ…気を付けてください、シャドウです!
 内部に無数のシャドウ反応!全員、戦闘態勢を取ってください!』
「…ここにもシャドウが……タルタロスで、全部終わったはずなのに…」
「全く、厄介だな…」
ゆかりと真田が苦々しげに呟いたが、アイギスは仕方ないとでも言うように首を振ると、
顔を引き締めた。

「……行きましょう、皆さん」

廊下は迷路のように入り組んでおり、登っていくのではなく降りるという事以外はタルタロスと
同じような感じだった。
(…入り組んだ構造、現れるシャドウ…あの時と、同じ……一体どうして…)
そんな事を考えながら進むが、手掛かりは一向に見えてこない。
それからさらに何階か下へ降りた時、風花が再び声を上げた。

『…何層か先に、他とは違う敵反応があります!注意してください』

その言葉に、メティスを除く3人が顔を見合わせる。
「…ホント、ここ…タルタロスそっくりよね…」
「ああ、階層ごとの番人といい…どこまで奴ら俺たちを苦しめれば気が済むんだ」
「…ここ、タルタロスと何か関係があるんでしょうか……」
立ち止って思考を巡らせるが、答えは出ない。

「考えても仕方ないです、ここを進めば分かるんですから。先を急ぎましょう、姉さん」
メティスはそう言いながら先へと歩き出した。
「あっ、ちょっと勝手に行くなっての…もう!」
先に行ってしまった2人を追って、真田とアイギスも後を追った。

もうすぐで反応のあった場所に着くという時、アイギス達は先程この中へ入っていった人影
が目の前を走り去るのを見た。
「!?」
『あれ…?いま目の前を、他と違う反応が…何だったんだろう…下のフロアへ消えたみたいだけど…』
影の走り去った方へ向かってみても、フロアを徘徊するシャドウがいるだけで、人影の様なものは
見当たらなかった。

「…何…?さっきから…」
「はっきりとは見えなかったが…女のようだったな」
ゆかりと真田が警戒するように辺りを見回しながらアイギスの後ろを進む。
それからより辺りを見て探索を続けたが、あの人影に遭遇することはなかった。
そうしている間に、下へと進むための孔が口を開けているのを見つけた。
『…この下から、強いシャドウ反応があります。……準備はいいですか?』

アイギス、メティス、真田、ゆかりは顔を見合わせ頷くとその孔へ飛び込んだ。




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アトガキの様なもの
展開が毎度遅くてすいません……orz
戦闘はいちいち書いてたらキリが無いうえ冗長なので番人戦
(複数ある場合は見ごたえありそうなものに絞ります)を主に付け加えていきたいと思います。
アイギスのペルソナはその番人のレベル−2〜+3辺りのペルソナで格好良さそうもしくは趣味
で決めたいと思います。メンバーも管理人の趣味になる可能性高いですが出来るだけ攻略本とか
チェックして決めていきたいです(今回は何も考えずバランスでこうなりました。すいません…)



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