その声に食堂の方に目を向けると、椅子に鎖で縛り付けられたメティスと名乗った侵入者がいた。 「ったく…よーやくお目覚めか・・・人が片付け当番の日に暴れやがって!大迷惑だっつーの!」 そう順平が言うと、彼女の顔を覆っていたマスクが上がり、再び少女の顔が現れた。 「…開くのか!?」 その事を知らなかった真田と荒垣が驚きで目を見開いた。 「わ、私…」 全員に見つめられ、メティスが戸惑っていると、再び順平が口を開いた。 「いいご身分だな…オレらなんか怖くもねぇってか?」 するとメティスは恥ずかしそうに俯き、なにやらもごもごと言い訳を口にした。 「こ、これはその…オルギア・モードで、疲れてたし…あっ」 メティスを見つめている皆より少し離れたところに立つアイギスを見つけると、メティスは 「…私は…あなたを守るために来たんです。こんな風に拘束しなくても、もう誰かを攻撃したりしません…」 と呟いた。 アイギスはその様子をみると彼女の前へ立ち、尋ねた。 「心変わりのわけを説明して。でないと、誰もあなたを信じられない」 アイギスの言葉は周りにいた全員の疑問を代弁しているようだった。 そして暫くの後メティスの言った答えは、全員の予想を裏切るものだった。 「それは…あなたに…嫌われると思ったから…」 場の雰囲気にそぐわない答えに皆が唖然としていると、アイギスがさらに言った。 「……彼女の拘束を解きましょう。どこまで信じられるか分かりませんが、 攻撃の意思が無いのは本当のようです。…彼女が私と同じ体なら、この程度では、 拘束になっていない筈ですから」 その言葉を聞いたメティスは、自分の周りに立つ人々の目に反対の色が無いことを確認し、自らの膂力で鎖を引きちぎった。 「マジかよ…交代で24時間見張ってたのは何だったんだ…」 あっけなく逃走を封じるための努力を無駄にされ、順平が空を仰いで嘆息した。 アイギスは目の前に立っている自分と同じ身体の少女を見つめ、尋ねた。 「まず、あなたが誰なのかを教えて。それと目的も」 メティスは小さく頷くと、 「私は…メティス。見ての通り、あなたの姉妹にあたる存在です。私がここへ来た目的はひとつ… たった1人の姉であるあなたを助けるためです。…この救いのない状況から」 と説明した。 「救いのない状況…?」 その答えに、先程まで眠っていた宇海とアイギスが首を傾げた。 それからアイギスは周りに立つ仲間達を振り返り、聞いた。 「あの…わたしが眠っていた間に、何かあったんですか? …と言うか、わたし、どのくらい眠ってたんでしょうか…?」 その質問に答えたのは仲間達ではなく、メティスだった。 「戦いが終わってから今までは、体感時間で言うと、丸1日と少し…… でも、今日はまだ3月31日のままです。明日も、その次の日も、このままだとずっと3月31日… 感じませんでしたか?”時間が空回りする瞬間”を」 その言葉にアイギスは、すぐにメティスが急襲する前のことを思い出す。 「空回りって…もしかして、0時に感じた、あの……じゃあ、まさか…同じ1日が、 ずっと繰り返されてるんですか!?」 「それだけじゃない…今朝からは、寮の外へも出られなくなった。 2重の意味で閉じ込められてるんだ、俺たちは」 真田がさらに付け足すと、アイギスは目を見開いた。 「そんな、どうして…」 答えを求めるようにメティスを見ると、彼女は次のように答えた。 「時間や空間に歪みが起きてるんです。…この地下にある“時の狭間”のせいで」 「時の…狭間?」 耳慣れない言葉にアイギスが聞き返すと、今度は美鶴が困ったような顔をして言った。 「何と言うか…あれは実際に見てもらうしか無いな」 「…あの、僕も行っても良いでしょうか……」 宇海がそう呟くと、荒垣が 「お前も寮の異常に巻き込まれたんだ、この際知っといたほうがいいだろ…」 と言った。 「…そうだな、望月との関係のこともあるが…今は状況を知っておくべきだろう」 それに美鶴が賛同すると、 「私が案内します。ついて来てください」 メティスが先頭を切って歩きはじめた。 「あっ、ちょっ…なんであんたが仕切んのよ、もう!」 ゆかり達が後に続いて歩き出した。アイギスもまた、宇海を複雑そうに眺めながらも後に続いた。
短くてすいません。本当はもう少し先まで書いてたんですがどうも長くなってしまうようで、
一番キリのよいここで分割しました。
前回の謎を放置したまま進んでますがちゃんと回収予定ですのでお願いします。
9話あたりから探索行けると思います。
フレーム未対応、携帯電話の方は以下のリンクから戻ってください。
対応している方がこちらを押すと携帯用Topに戻ってしまいますのでご注意ください
◇Index
◆Top
◇Novel