再びモールにある扉をくぐると、入ってきた扉の間とは違う景色が目に飛び込んできた。
「えっ…これは!?」
驚いてアイギスが辺りを見回すと、そこは寮のラウンジだった。
アイギスが扉から出たのを見て追ってきたらしいメティスも

「あ、すごい…下の”扉の間”じゃなくて、直接ここに繋がるなんて
 確かに、今はここも”時の狭間”の一部だから、あり得なくはないですけど
 ”補給に使える”って全員が意識したから、意思反映が強くなったんでしょう
 これなら、行き来が便利でいいですね」

扉の外に広がる景色に感嘆の声を漏らしたが、すぐに冷静になって呟いた。
すると、今度は扉の向こうから、順平の声が聞こえてきた。

「もしもーし。妹ちゃん、後ろ詰まってんぞー」

アイギスとメティスが扉の前から退くと、順平とゆかりが入ってきた。
そして先程アイギス達が驚いたように、扉の前の景色に目を見張る。
「うそ…まじ?」
驚いてその場で立ち止っていると、今度は真田が声をかける。
「おい、早く進め。後ろが詰まってるぞ」
残りの全員が扉から出るのに似たようなリアクションをしながら、全員がラウンジへと戻ってきた。


…補給路は、何とか確保されたが、閉じ込められた状況は解決していない。
迷宮のさらなる奥には、いったい何が待っているのか…


×


ラウンジでは、次の探索に向けたミーティングの様なものが開かれていた。
順平とコロマルがアイギスに向かって、嬉しそうに声をかける。
「おしっ!!こっからは、オレとコロマルが前線復帰するぜ!」
「ワンワンッ!」

「ヨロシクな!!」
気合十分、とでも言うような順平に、荒垣がぼそりとツッコミを入れた。
「ま、結局……補給路見つけたのはお前じゃなくて…そこの、アイギスだろうが…」
順平はその突っ込みに、
「まさかの荒垣サンからのツッコミ………ドンマイ、オレ!」
と肩を落としていた。

「次の探索はどうしますか?」
風花が尋ねると、さっきまで落ち込んでいた順平が挙手をした。

「ハイ、ハイハイ!オレっちに任せとけって
 アイちゃん忘れてっかもしれねーけど、火炎系ならオレの出番だぜ!
 コロマルは闇属性得意だし、あとムドを喰らってもへっちゃらだったよな
 きっと活躍できる場面があっからよ!」
そう言う順平に、アイギスは少し考えると
「…そうですね…じゃあ、コロマルさんお願いします」
と言った。

「ワンワンッ!」

コロマルはやる気を見せるように鳴いたが、
アイギスには以前よりもはっきりと意思をくみ取ることができなかった。

「…後は…美鶴さん達の方は、まだ作業に時間がかかりそうですか?」
アイギスが尋ねると、美鶴は頷いて
「…そうだな、まだ少しかかりそうだ。大体片付いたら、先に有里を探索に合流させよう」
と言った。その言葉に宇海も、
「…探索や戦闘は初めてですが…頑張ります。
 あ、僕は以前居合をやっていましたので…大太刀を武器として使用します」
と静かなやる気を見せている。

「…オオダチ?」
ゆかりが聞き慣れない言葉に首をかしげると、宇海が説明を入れた。
「日本刀の一種です。日本刀の中でも特に長いものを大太刀と呼ぶそうです」
「へぇー…刀にも色々あるんだ…」
とゆかりが感心していると、美鶴も
「日本刀以外にも、私の使うレイピアと、伊織の使う両手剣といったように、様々な刀剣があるな」
と呟いた。

「そういや、えーっと…有里って紛らわしいな…タカミ……でいいよな?」
順平が宇海に尋ねる。
「え?…ええ…構いませんよ」
どうしたのかと不思議そうにしていると、
「お前のペルソナって…さっき出したアレだよな?」
「…そうですけど……」
アイギスを攻撃したことを悔やんでいるのか申し訳なさそうに呟く彼に、順平はづつけて言った。
「スキルとか、苦手属性とかって…やっぱ深宙のと同じだったりすんのか?」
「えっと…光属性が苦手で…技は斬撃系が多いです……後は、一つだけ万能属性の技を持ってるみたいです」
思い出すように目を閉じて宇海が言うと、
順平は少し嬉しそうに
「おっ、万能かー…いいじゃん、手広く活躍できそうじゃん……探索行けるようになったら期待してるぜ!」
と肩を叩いた。

「…そんなこよりと、早く探索に行きましょう。アイギスさん
 いつまでこの”時の狭間”が続くか分からないんだし、早く解決した方がいいでしょう?」
天田がアイギスにそう言うと、
すかさず順平が天田をからかい始める。

「なんだ、天田少年コイツばっか注目されて悔しいのか?」
「…ッそんなんじゃありません!こんな状況なのに順平さん、気楽過ぎますよ!」

本気で怒った天田に順平がたじろぐと、いつの間にか後ろに立っていた荒垣が、
順平の頭に軽く肘鉄を落とした。

「…今のはお前が悪い」
「……ハイ、すんませんでした」

アイギスが探索メンバーを決めて再び扉の間に降りると、
先程探索に出た扉が無くなっていた。
おろ度録アイギス達にメティスは
「役目を終えた扉は、どうやら消えてしまうみたいですね」
と呟いた。

風花の探知によると、また別の扉が開くようになっているらしい。
『ここが2つ目の扉ですね…準備はいいですか?』

彼女の言葉に頷くと、アイギスは扉を開けた。


×


扉の中は先程の絨毯敷きの廊下とは違い、より異様な造形をしていた。
床は天使とも悪魔ともとれる模様の描かれた不気味な物で、全体的に薄暗い。

『内部の様子を調べてみますね』

そう言って風花が暫く精神を集中させる。それから、
『僅かですが、下の方からかなり強い反応を感じます
 距離はまだ離れていますが注意してください』
その言葉にメンバーが頷き、探索を開始しようとすると、風花がもう一度声をあげた。

『あっ、待ってください!もう1つ、目立つ反応が…
 この反応…もしかして、いつもの”黒い影”…?』
「えっ…また……?」
「ワフッ」
ゆかりとコロマルが辺りを見回すが、そこには不気味な廊下が広がっているだけで、
人影を確認することはできない。

『目の前に居るような感じもするし、すごく離れた場所に居る感じもする…
 ……ごめんなさい。もう一方は位置を確定できません…
 もうちょっと追って調べてみます。そちらも気をつけて探索お願いします』

「…行きましょう、姉さん」
メティスの声にアイギスは頷くと、先頭に立って探索を開始した。




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アトガキの様なもの
探索前の会話+探索開始まで…です。本当に進みが遅くて申し訳ないです。
短縮しすぎても内容が薄いと思うので…(言い訳すいません)
今回は若干会話を変更して書いています。ストーリーにさほどの影響がなければ、
この様なアレンジ…というか変更をして書いていきたいと思います。
進みが遅い分せめてもう少し更新頻度を上げられるように頑張ります。



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